水瀬ケンイチさんの「お金は寝かせて増やしなさい」を読んで、リスク回避しすぎだったかもと再考。
インデックス投信関連ブログ界隈で度々話題になっている、水瀬ケンイチさんの 「お金は寝かせて増やしなさい」。
自分もインデックス投信を始めて1年ちょっと経ち、復習と考えの整理のために購入して読んでみました。。
そして自分の投信スタイルの大きな勘違いに気づいたのが今回の主題です。
お金は寝かせて増やしなさい [ 水瀬ケンイチ ]
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「お金は寝かせて増やしなさい」感想
この本は水瀬ケンイチさんが自身の長年のインデックス投信から得た経験・知識をまとめた本。
水瀬ケンイチさんは「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を運営する、インデックス投信を古くから実践してきた方の一人・・というのは当ブログまでたどり着くような方はとっくにご存じかと思いますが。
販社側ではなく、インデックス投信を続けてきた1ユーザーとして書かれているので、利益相反がある方には書きづらいような(現時点のロボットアドバイザーは手数料が高すぎて使えない、とか)内容が書かれていること、また実際に実践してきたリアルな内容が書かれていることから、同じ側の視点で素直に読める本になっていると思いました。
内容としてはまだ投資信託を全くしたことがない人が読んでもいいと思いますが、多少実際に買ってみたインデックス投信初心者が自分の実践がこれでいいのか見返すのに良い本だと感じました。
プロローグ:私がたどり着いた「寝かせてお金を増やす方法」
第1章:金融のド素人でもプロと互角以上に戦える「インデックス投資」
ここまでは初心者向け。漫画もあって読みやすくできています。
第2章:寝かせて増やすインデックス投信の実践法
ここから実践。インデックス投信を始める前にしなければいけないこと、アセットアロケーションの考え方・・特にリスクコントロールがとても強調されているのは多くの○○ショックを乗り越えてきた含蓄を感じますね。
基本的には自分の考え・実践してきたことで大枠合っていたとは思ったのですが・・1点、自分の考えに大きな誤りがあったことに気づきました。(後述)
第3章:おすすめの金融機関&口座開設の手順と気になるNISAとiDeco
ここも初心者向け。実際に口座の開設手順などが記載。NISAやiDecoをどの位置づけで組み込んでいくかのアドバイスもあります。
第4章:始めるのは簡単だけど続けるのは意外と難しい
この章は続けていくための心構えや投資関連の名言の紹介など。
淡々と続けていくことが大事なインデックス投信において、心の平穏を保つために。専門家が書く本では続けられるのは当然の前提のように書かれますが、実際暴落局面で心穏やかに、とまでは行かずとも少なくとも市場から撤退せずにいるための防波堤となるメッセージだと思います。
第5章:涙と苦労のインデックス投資家15年実践記
2004年から1年ごとの金融関連の大きなニュースと水瀬さんの資産の動きを紹介。実際幾度もの未曾有のショックに遭遇しても、続けることで最後は勝利を得られることがわかります。
第6章:貴重情報!インデックス投信の終わらせ方
運用してきて老年期になったときにどのように資産を取り崩してゆくか。アセットリロケーションと定率売却の話。
利用しているSBI証券で定額売却機能があるので、その機能で取り崩して行けばいいやと思っていましたが、売却時の定時定額はドルコスト法が悪い方向に作用するということを示されてなるほどの一言。
まぁまだ当面余裕ありますが、覚えておきたい部分です。
国内債権クラスが過剰になっている?
さて、本題です。
第2章P108で国内債券クラスの選択について言及されており、結論としてはマイナス金利の現状では今後金利が上昇したときに基準価格が下がる可能性が高く、当面は「個人国債変動10年」や「ネット銀行の定期預金」などが国内債権クラスの代用として考えられ、実際に水瀬さんは個人国債を国内債券クラスの代用に充てている、と。
え、と思い 「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を見に行ってみると確かに国内債券クラスは 個人国債になっています。
自分の場合、個人国債は無リスク資産として保有し、国内債券クラスは国内債券インデックスと分けて考えていたのですが、株やREITを攻めの資産として、守りの資産という意味では本質的には同じものか、と。
そう思って第2章を読み返してみると、水瀬さんは生活防衛資金(生活費x2年)を確保したあとは無リスク資産の確保は言及されず、アセットアロケーションの構築に入っています。そしてリスクコントロールには国内債券の割合を決めて、それを守ることが大切だと。
一方で有名ブロガーの吊られた男さんのブログで示されているポートフォリオでは国内債券クラスはなく、株式クラスだけですね。ただ、ブログ読み進めていくと奥さんが保有する資産はほとんどが無リスク資産のため、吊ら男さんの資産は株だけにできると。
つまり、守りの資産を無リスク資産としてアセットアロケーション外で確保するか、国内債券クラスとしてアセットアロケーションの枠内で管理するか。いずれか一方が基本で、そこに充てる金融商品はほぼ同じ。
そうすると、無リスク資産を確保した上で国内債券クラスを確保している我が家のアセットアロケーションは、実質的には国内債券クラス過剰で、リスク下げすぎなのでは、という疑念になりました。
国内債券クラスを残して無リスク資産をなしに(国内債券クラスとして計上)するか、無リスク資産を残してアセットアロケーションから国内債券クラスをなくすかは個人の感覚によるとは思いますが、前述の二人のブロガーを考えてゆくと、自分で管理できるなら国内債券クラスにした方が計算でリバランスできて細かくリスク管理ができ、自分で管理できない(パートナーなどが管理する)なら無リスク資産扱いがいいのかなと思いました。
我が家の場合は基本資産運用は自分が一手に引き受けていて、奥さんには定期報告というスタンスなので、アセットアロケーションに入れて国内債券クラス扱いが良さそうですね。
(18.2.20追記)寝て起きて情報収集していると、この展開もまだ誤解があるような。
無リスク資産、国内債券クラスで同じ商品が使えるといっても、自分の金融資産の中での色(位置付け)が違うから単純に合算していいものではないのでは。
もう少し検討してから再度記事にしてみようと思います
まとめ
・水瀬ケンイチ著 「お金は寝かせて増やしなさい」は実際に長期間投資しているユーザーによって書かれた腑に落ちる内容の良書
・国内債券クラスはマイナス金利の現状では買いにくい?とはいえ守りの資産クラスはリスクコントロールには必要
・(要再検討)無リスク資産と国内債券クラスの保有目的は同じ。扱う商品も同じものがつかえる可能性がある。両方同時に持つのは複雑になるだけか